110917PCTC:ポルシェドイツツアー2日目 のイベントレポート
DAY2 アルペンツアー:サンモリッツへの旅
ポルシェクラブドイツツアーのコースは、ポルシェトラベルクラブの冊子によると、アルペンツアーです。
ルートは、ホテルメリディアンシュツットガルト→ルートヴィヒスブルクのポルシェトラベルセンター→アウトバーン→スイスのブーシンゲン(昼食)→クール→ユリア峠(パス)→サンモリッツのケンピンスキーホテル です。
これからのツーリングにワクワクしながらK本さんと朝食を食べていると、隣のテーブルの日本人が、何しにシュツットガルトに来ているのか話しかけてきました。
見ると、娘さんとお孫さんを連れたご主人でした。
「ポルシェクラブのドイツツアーで、これからスイスのサンモリッツ、オーストリアのチロル地方をツーリングする旨」を伝えると、そのご主人は、「毎月、仕事でドイツに来ていること、今回はポルシェエクスクルーシブに新型991をオーダーしに来た」とのことでした。
さらに、「君達も新型991をオーダーすれば?」なんて上からマリコ的な発言にカチンときた私は、「997GT3 3.8に乗っているから、カレラには興味がない旨」を伝えると、そのご主人は、「来月、COXから997GT3RS4.0が納車される」と得意満面の笑みです。
いやあ、凄い人はどこにでもいるものです。
そして、見栄をはってはいけないことを学びました(苦笑)。
ホテルメリディアンシュツットガルトからチャーターバスでルートヴィヒスブルクのポルシェトラベルセンターへと移動しました。
ルートヴィヒスブルクのポルシェトラベルセンターでは、ツーリング時のブリーフィングとグループ分け、インストラクターの紹介、車両の受け渡しです。
ポルシェトラベルセンター内は、開発車両等が保管されているので、カメラ撮影禁止ですが、991carreraや997GT3RS4.0が敷地内に置かれていることから、カメラ撮影を禁止にする理由がわかりました。
インストラクターは、昨年、フルカ峠のダウンヒルでY城さんからのプッシュに怯えたトルステン・ハーンとインストラクター1年目のマニュエル・マンゲナストでした。
トルステンとの再会を喜んだのもつかの間、私のグループのインストラクターは、マニュエルでした。
F谷&K本組に貸与されたポルシェは、997carrera4S(メテオグレーPDK)で、スポーツシャーシー・パドルシフト・スポーツデザインホイール・クリアーテールランプ以外は、PCTCのS山さんの仕様と同じです(単に色と車種が同じだけかも…)。
マニュエル組のメンバーは、PC北東京のM岡&Y島組の997targa4(ポルシェレーシンググリーンPDK)、PC西東京のS田&T田組の997carrera4S(アークティックシルバーPDK)、PC北陸のS田利&D定組の997turbo(メテオグレー6MT)とPC東京中央のF谷&K本組の4組です。
インストラクターのマニュエルは、997carrera(スピードイエロー6MT)ですが、PCCBが奢られています。
997turboを借りる場合、100千円の追加料金を払わなければなりません。それなのに、去年、私とK城さんは997carreraをポルシェトラベルセンターが用意できなかった為、997turbo cabrioletを無償で貸与されました。超ラッキーでした。
PC北陸のS田利&D定組の997turbo(メテオグレー6MT)は、日本には未導入の6MTで、さらに、テールパイプが4本出しのturbo用スポーツエキゾーストシステムが装着され、駄目押しにPCCBまで装着されており、至れり尽くせりの豪華仕様でした。
オープニングドライバーをK本さんに担当していただき、私は、ドイツツアーで初めて助手席に納まりました。
ルートヴィヒスブルクからアウトバーンに入りました。
アウトバーンは、ほとんど130km/hの速度制限なのですが、ポルシェの工場があるシュツットガルトとライプチヒ周辺だけ速度無制限区間があるのです。
速度無制限区間に入るとK本さんの右足に力が入るのとシンクロしてクォーンというFLAT6独特のエキゾーストノートを奏でながら、レヴカウンターが右サイドに踊り、デジタルスピードメーターの表示が目にも止まらぬ速さで動いていきます。
しかし、前走車に心のスピードリミッターが作動したのか、インストラクターとの車間距離が広がった為、K本さんのアタック記録は、239km/hどまりでした。残念!!
アウトバーンのPA(パーキングエリア)でドライバーチェンジし、アウトバーンへと合流して行きました。
レブリミットまできっちり回してから右パドルシフトを引くと間髪いれずにシフトアップするPDKに、MTオーナーとしては驚き混じりの複雑な心境で加速とシフトアップをし続けました。
自動車評論家は、スッキリ回る3.6carreraを推していますが、どうしてどうして3.8carrera4Sのエンジンフィールもトルク及びパワーを伴ってレブリミットまでしっかり雑味なく回っていきます。
さらに、ボディーの堅牢さも必要十分にあります。
ハードプッシュにもしっかり対応でき、かつ、クルージングに移れば快適な997carrera4Sは、「間口が広くて奥行きが深い」ポルシェ911であり、997GT3 3.8に乗る私でさえ、これで十分と思えるほどの満足感を与えてくれました。
997GT3 3.8は、ハードに攻め切ると珠玉の喜びを与えてくれますが、そこに持って行くまでの集中力、運転技術力を持続し続けないと単なる移動手段となり、ちっとも喜びを享受できないのです。
すなわち、「スウィートスポットが狭くて高い」のです。
なんて、高名な自動車評論家ばりのインプレッションを頭で考えながらフルスロットルでブッ飛ばすも、前走車のビビリミッターが何度か作動し、結局、今回の最高時速は251km/hで終わりました。
インストラクターの真後ろならば、280km/hも夢ではなかったかもしれませんが、こればかりは、隊列のポジションとグループメンバーの力量、そして交通量に左右されますので、最高速アタックは、運に任せるしかないのです。
アウトバーンを降りて田園地帯を少し走ると、スイスに取り囲まれたドイツ領のビューシンゲンに入り、本日の昼食会場である「ホテル&レストラン アルテ・ラインミュール」に到着しました。
ここは、去年のドイツツアーでルツェルン湖に行く際の昼食会場でもあります。
エメラルドグリーンに輝くライン川沿いのホテル&レストランのオープンテラスで、そよ風に吹かれながら、鴨肉のメインディッシュとアップルパイをいただき、美味しいアップルジュースを炭酸水で割って渇いたノドを潤しました。
我々が出発する間際に幸せいっぱいなドイツ人の新郎新婦、親戚、友人が到着したので、これからレストランウェディングか、あるいは、披露宴が開かれるのかもしれません。
昼食後、スイスのクールを通ってサンモリッツへと向かいます。
ここまで200km弱走ってきたので、残り250km走ることになります。
再び、ステアリングをK本さんに委ね、田園地帯を進んでいきます。
ドイツの田園地帯は、見通しが良く、適度にアップダウンがあり、気持ちの良い道路です。
特に、集落に入ると速度制限が35km/hとなり、集落から離れるにつれ、50km/h、70km/h、70km/hオーバーと速度制限が緩くなっていきますが、ドイツ人はきっちり交通法規を守ります。
自動車文化の根付いたドイツにおける自動車と人との共存のあり方やスピードに対して人里離れれば、スピードに責任を持てる範囲でスピードを出す権利を得ると共に集落では、安全に配慮する義務を負うということが徹底されていることに関心しました。
スイスに入ってから高速道路に入り、100km/h位で巡航していると、岩山がどんどん迫って来て、いよいよアルプスへと近づいてきました。
車中では、K本さんの山に対する思い、スキーを長年楽しんでいること等、普段のツーリングでは一人一台の為、聞けない話をたくさん聞くことができ、有意義でした。
MAN製の大型トレーラーとすれ違った時、MANのトレーラーは、絶対に故障しないという不敗神話から船舶やトラック界のロールスロイスと言われており、ステータスが高いことを教わりました。
確かに、MAN社は、ディーゼルエンジンを開発し、特許を取得したルドルフ・ディーゼルを擁しており、ディーゼルにおける技術力が抜きん出ていたようです。
ダイムラーベンツとMAN社は、1923年にディーゼルトラックの試験を開始しています。
メルセデス・ベンツミュージアムに展示されていた黒い260Dは、1936年にメルセデスベンツが、ディーゼルエンジン初の乗用車として市販化した車です。
以上より、MANとダイムラーベンツは、ディーゼルエンジンの分野で切磋琢磨していたのです。
再び、パーキングエリアでドライバー交替し、本日二度目のステアリングを握りました。
しかし、この時から雨が降り始め、大変楽しみにしていたユリア峠(pass)へのアタックは、雨のアタックになりそうです。
今回のアルペンツアーでユリア峠、オッフェン峠、ユッフェン峠、ステルビオ峠の4大峠を走破する予定です。
そのひとつ目の峠であるユリア峠にアタックするゆえ、必然的に鼓動が高鳴ります。
インストラクターの真後ろのポジションが回ってきて、ユリア峠へのヒルクライムアタックに燃えていました。
1年目のひよっこインストラクターに負けるわけにはいきません。
日本で走り込んでいる実力を見せるべく、コンセントレーションを高めていきます。
スイスの高速道路を降りて、ワインディングロードに入って行くと、ますます雨足(あまあし)が強くなり、強雨の状態です。
ワイパーを最速にしてインストラクターについていきます。
ポルシェは、リアタイヤが太いので、水しぶきがひどく、後続車は、視界を確保するのに大変です。
ユリア峠は、会津磐梯スカイラインのような岩山を短いストレートとタイトコーナーで結んだようなコースで登っていきます。
強雨の場合、タイトコーナーからの立ち上がりで、横滑りさせず、前へ進ませるトラクションを確保できるようなシビアなアクセルコントロールが求められます。
短いストレートですが、強雨の時の鉄則通り、1速高い3速に入れ、ヘアピンコーナー手前で2速に落とします。
前方を走るマニュエルもセオリー通り、コーナー手前で2速に落としているようですが、MTゆえにヒール&トゥーで落とす為、ブレーキングが心持ち早い感じがします。
それに対して、こちらはPDKゆえにブレーキコントロールだけに集中し、パドルを引くだけで安定してシフトダウンできます。
さらに、マニュエルの997carreraは2WDなので、クリッピングポイントを過ぎて車の向きが変わってからもトラクションが逃げないよう、ジワーっとアクセルを開けているようで、加速するタイミングが心持ち遅い気がします。
それに対して、こちらはPTM仕様の4WDなので、クリッピングポイントを過ぎてアクセルを開けていくと、フロントが心持ち引っ張られていくような感じでコーナーを脱出できるのです。
MRのケイマンS及びRRの997GT3 3.8とも違う感触ですが、強雨のような天候の場合、997carrera4Sは最高のマシンだと思いました。
ユリア峠は、スイスの峠道特有のガードレールなしの道で、助手席側は断崖絶壁で怖いはずです。
怖いはずというのは、強雨の為、雲が一面に垂れ込めていて崖下が全く見えなかったからです。
それでも、急に無言になった助手席のK本さんに心で謝りつつ、マニュエルの追走と997carrera4Sとの対話を心ゆくまで楽しんでいました。
バックミラーを覗くと、後続車の997turbo(メテオグレー6MT)をコーナー2つ以上引き離していました。
やはり、6MTゆえ、シフトダウン時にてこずっているようです。
強雨の中、ユリア峠の険しい山岳路をマニュエルとランデヴーしながら、ポルシェのポテンシャルの高さを存分に楽しみ、サンモリッツのケンピンスキーグランドホテルに17時35分に到着しました。
このホテルは、古城を改装した5つ星のホテルで、中はお城のように格式高く綺麗でした。
19時からディナーが始まり、一日の疲れと興奮を美味しい食事とワインそして道中の出来事を面白おかしく話してクールダウンしていきました。
お酒を飲まない方に給仕係が、レモンスカッシュを勧めたので、K本さんほか数名が注文しましたが、出てきた飲み物がファンタレモンだったので、一同ビックリしました。
サンモリッツの5つ星ホテルでは、レモンスカッシュとはファンタレモンのことだったようです(笑)。
明日は、オッフェン峠、ユッフェン峠、ステルビオ峠にアタックしますので、今からワクワクしています。
どうか晴れますように!!
(走行距離431.7km 走行時間6時間)